韓国人見物

 韓国では以前、赤い色は共産主義、つまり北朝鮮を意味するということで嫌われていた。だから反政府学生デモでも昔は赤旗は決して登場しなかった。そこで日本の「紅白歌合戦」のような、二つに分かれてやる各種の対抗戦も、韓国では”青白戦”といっていた
 韓国社会の”赤色拒否”に変化が起きたのは1980年代末のいわゆる民主化がきっかけだった。親北・左翼運動や労働運動が解禁になったことが大きい。その後、政治運動はもちろん各種イベントに赤い色の旗や鉢巻き、垂れ幕、プラカード、衣装など赤がたくさん登場するようになった。それが日韓共同開催の2002年W杯サッカーにつながり、赤は国を挙げての”応援色”になった。赤が「非国民カラーから愛国カラー」に大変化してしまったのだ。
 ドイツW杯で韓国はまた盛り上がっている。韓国戦の日はソウル中心街は今回も街頭応援の赤い群集で埋まっている。そこでソウル市庁前広場に面したプラザホテルなど、真っ赤な群集応援風景を見物するのに絶好だといって客室セールスに余念がない。この時期、外国人には”韓国人見物”が面白い。
黒田勝弘
2006年6月17日土曜日 産経新聞大阪版朝刊【ソウルからヨボセヨ】より